眼瞼痙攣に対するボトックス治療
眼瞼痙攣は一般的には原因不明のことが多く、まだ根本的な治療法は確立されていません。症状を抑えるために薬物内服療法を用いることもありますが効果が不安定で、現在ではボツリヌス療法が主流となっています。
ボツリヌス療法(ボトックス注射)
痙攣しているまぶたの筋肉にA型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)を注射します。ボトックスは痙攣の原因になっている神経の働きを抑え、筋肉の緊張を和らげることで症状を軽くすることができます。個人差はありますが、1回の注射による効果の持続期間はおよそ3~4ヶ月です。そのため、効果が無くなるたびに再投与する必要があります。稀に、注射の効きすぎでまぶたが閉じにくくなる(閉瞼不全)やまぶたが下がる(眼瞼下垂)、注入部位の皮下出血などの副作用もありますが、そのほとんどが1ヶ月ほどで消失します。
眼瞼痙攣の治療として1回に使用されるのは少量なので体への負担も少なく安全性の高い治療といえます。当院では眼瞼痙攣だけでなく、片側顔面痙攣に対してもボトックス注射を実施しております。なお片側顔面痙攣では顔面神経が目の奥の血管により圧迫されていないかMRI等で画像診断の必要性があります。
霰粒腫に対する切開術
まぶたにある脂腺のマイボーム腺が詰まって、まぶたの中に小さなしこりができるのが霰粒腫(さんりゅうしゅ)です。通常は無痛性ですが、炎症を伴うと痛みや腫れを伴うようになります。小さいものであれば、治療なしでも内容物が排出されたり、吸収されたりすることがあります。この場合、数週間から2か月ほどの経過で自然に治癒することが期待できます。眼瞼を暖めると、マイボーム腺に詰まっている脂成分が柔らかくなり、自然排出・吸収を促すことが期待できます(温庵法)。温める場合は、1日2〜3回、10分程度行いますが、炎症が強い場合は炎症を悪化させることもあるので注意が必要です。炎症が強い場合はまずは点眼や軟膏などの保存的療法で経過をみます。
保存的療法で改善しない場合、穿刺や切開などの外科的な対応を要することがあります。切開は局所麻酔下で実施することが一般的ですが、治療に協力が得られにくい低年齢の患者様では全身麻酔が必要になることもございます。局所麻酔下で実施する場合、処置時間はおよそ10分です。処置後もしばらくは眼瞼の腫脹は持続します。
眼瞼内反症
加齢に伴い下眼瞼の支持組織が緩み、下眼瞼そのものが眼球側に入り込んでしまう病態です。睫毛が眼球表面に接触するため、異物感や流涙、眼脂、視覚障害などの原因となります。手術では緩んだ組織を補強し睫毛が眼球に当たらないようにします。局所麻酔で実施いたします。
眼瞼腫瘍
眼瞼周囲にはさまざまは腫瘍性変化が生じえます。乳頭腫や脂漏性角化症など良性のものから、基底細胞癌、扁平上皮癌、脂腺癌など悪性のものも存在します。簡単な切除で済むものから、眼瞼の拡大切除、再建など大掛かりな手術を要するものもあります。