日帰り白内障手術

白内障手術時に多焦点眼内レンズ(遠近両用眼内レンズ)を検討されている患者様へ

多焦点眼内レンズは、2か所以上にピントが合う構造のレンズで、術後になるべく眼鏡をかけずに生活したいと希望する患者様には有益なレンズといわれています。しかし、高価な眼内レンズだから良いだろうというだけの理由で多焦点眼内レンズを選択するのは間違いです。多焦点眼内レンズ、通常の単焦点眼内レンズのそれぞれのメリット・デメリットをよく理解した上で選択する必要があります。

【多焦点眼内レンズの特徴】

一番のメリットは眼鏡への依存度が低くなることですが、術後に残った乱視などの影響で眼鏡が必要になる患者様も存在します。

多焦点眼内レンズでの見え方に脳が慣れるまで時間がかかる場合があります。そのため、通常の単焦点眼内レンズよりも視力回復が緩やかであることが一般的です。

多焦点眼内レンズは,眼の中に入ってきた光をいくつかに振り分けるため、その光の振り分けに伴う光エネルギーのロスがあります(例えば遠方に41%,近方に41%が配分され,18%は損失など)。そのため光をすべて活用する単焦点眼内レンズに比べ、見え方の質がどうしても劣化してしまいます

単焦点眼内レンズ挿入時の見え方イメージ
多焦点眼内レンズ挿入時の見え方イメージ

多焦点眼内レンズの特殊な構造の影響でコントラスト感度(輪郭のあいまいな図形の認識や、微妙な濃淡の違いを判別する能力)の低下、グレア・ハローといわれるまぶしさの発生,夜間運転時に見づらいなどの症状がみられることがあります。少数ではありますが、waxy vision(モワッとした見え方)により遠方も近方もよく見えず、どうしても多焦点眼内レンズの見え方に慣れないという場合もあります。

ハロー:街灯や車のヘッドライトの光がぼわっと膨張したようにみえる。
グレア:光がまぶしく、散ったようにみえる光が筋を引いたようにみえる。

【選択の上でのアドバイス】

術後の見え方の質(はっきり見えること)が重要で、眼鏡装用に抵抗がなければ単焦点眼内レンズがお勧めされます。単焦点眼内レンズのほうが、映像のシャープさや、微妙な濃淡の判別には有利といわれております。カメラマン、デザイン関係者、歯科医、非常に精密な視力が必要な職業など、術後の見え方の質にこだわりを持っている方、あるいは性格的に細かいことが気になりいろいろと考え込んでしまう神経質な方は、多焦点眼内レンズは向かず単焦点眼内レンズが向いているといわれております。

逆に、見え方のコントラストが多少落ちたり、グレアやハローがあったりしても、できるだけ眼鏡を装用せずに生活することが重要と考える方に、多焦点眼内レンズは向いています。仕事上あるいは美容上、眼鏡が使えない方や、これまで眼鏡を使用したことがなかった方は、多焦点眼内レンズ術後の満足度が高いといわれております。

Copyright©2019 Fukumoto eye_clinic All rights reserved.